順番待ちの税務署で隣に座った女性と世間話に花が咲きました。女性は夫と二人暮らし。いずれも企業を勤め上げ今は年金暮らしだとか。しかし、確定申告に来たのは妻だけで、マイナンバー導入以来夫はきっぱり来なくなったそう。
「マイナンバーを握られると個人情報が丸裸にされて、いずれはあらゆる財産にまで課税されるようになる」というのが夫の懸念だといいます。今はまだ、申告書に必ずしもマイナンバーを記載しなければならないわけではないですよ、といっても通じません。
「各種の適正な手続きのため、行政事務の効率化のため、国民の利便性向上のため」と国はいいます。しかし、「隠蔽」「改ざん」「捏造」「廃棄」を繰り返す政府がいくらそういっても、国民の側は既に額面通りに受け取ることは難しくなってしまっている表れではないでしょうか。ましてや、一国の総理が国会で虚偽の答弁をしているかもしれないというのですから。戦後、財産税が課されたいきさつをこの夫はきっとリアリティをもって知っているのでしょう。
このことは我々、社会保険労務士にとっても決して無関係ではありません。国が業界団体を通じて送りつけてきた文書には「社会保険労務士の通報スキーム」が添付されていました。そこには、マイナンバー未届の社会保険労務士にかかる指導として、指導対象となった社労士は何重もの指導を受けることになる旨が書かれています。「 事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上 」が目的の社労士に、 高度監視社会の片棒を担がせようとする現政権を断じてわたしは支持しません。