憲法学者の木村草太さんは言います。「(緊急事態宣言を盛り込んだ新型インフル等特措法の)成立後も法律の内容をよりよくできないかという議論は続けられるはず」。
そのとおりだと思います。いかなるときも、必要なのは対話であり、議論です。たとえ議論が苦手とされてきた日本人であろうとも、緊急事態ともなれば、議論しないで済まされるはずがありません。たとえ、日本人の悪い癖が、議論が苦手なだけでなく、一度決まったことでもそれをよりよくするための議論を続けるという、発想自体が乏しいことだとしても。
木村草太さんは続けます。 特措法成立前の一斉休校要請は、首相に命令権を集めても現場を混乱させるだけで、教育機会や保育手段の担保については、ほとんど手を打てないことがわかった。このことは、緊急事態条項の不要さを浮き彫りにしたと学習すべきだと。
だとすれば、我々は無力感に包まれる必要はないということではないでしょうか。一部の野党のように「 少数野党ではひっくり返せないんだ 」といって、早々に賛成に回り本末転倒などしなくても。今、我々は、コロナの脅威や経済恐慌の不安だけでなく、国家権力の横暴という3つの危機に対峙しています。だからこそ、思い込まされてはなりません。我々国民は主権者なのであって、決して無力な囚われ人ではないのですから。