近年、毎年必ず列島のどこかで豪雨の被害が繰り返されていますが、今年は、新型コロナとの複合災害というだけではなく、深刻さのレベルが増した気がしています。熊本県の自宅で濁流にのまれた78歳の女性は、今月4日の早朝 「水が来た」という近所の人の電話で起こされ、一旦は避難しようと夫とともに外へ出ましたが、その後自宅に引き返して犠牲となりました。
女性が自宅へ引き返したあと、あっという間に水かさが増え、命からがら屋根にのぼった夫は無事でしたが、水が引いた後、何かを抱きかかえるような姿で玄関に倒れている妻を夫がみつけたのは同日の午後だったのだとか。ご夫婦は、今年5月にご長男を亡くされていて、四十九日の法要を前日終えたばかり。妻は「お骨を取りに戻ったのではないか」との記事を読んで衝撃を受けています。
5月に亡くなったというご長男は、働き盛りの48歳。世にいうロスジェネ世代です。 特に持病もなかったのに心不全で急死とありました。職業柄、「脳・心臓疾患」「ロストジェネレーション」というワードから反射的に「過労死」を連想してしまい、心がざわついています。単なる憶測にすぎないものの、仮にそうだとしたら、これは自然災害というよりもむしろ新自由主義の犠牲といえるかもしれません。もし、息子さんが生きていたら彼女は命を落とさずにすんだのではないでしょうか。