「アメリカ、ロサンジェルス近郊で起きた森林火災は、東京ドーム1300個分を焼き尽くし、まだ、燃え続けているんだって」。そう聞いて、あなたはどんな反応をするでしょう。大方の人は、困惑した顔をして、自分にはどうすることもできないとスルーするか、全くの無関心かのどちらかではないでしょうか。もちろん、わたしも例外ではありません。でも、もうそろそろ、本当にヤバそうで、このままいけば、山火事に追い詰められた野生動物と同じ運命をたどる気がしています。
今回、コロナで有名になったイタリアのパオロ・ジョルダーノは、「コロナの時代の僕ら」という本の中でこう語っています。「八〇年代はボリューム感のあるヘアスタイルが流行して、毎日何百リットルというヘアスプレーが噴射された。ところがやがて、フロンガスがオゾン層に穴を開けつつあるという事実が明らかとなった。どうにかしないと、僕たちは太陽に黒焦げにされてしまうというではないか。結果、誰もがヘアスタイルを変え、人類は滅亡の危機から救われた。」
しかし、2000年から2010年までの平均で、アジアの一部を除き、干ばつや火災の影響で、全世界の森林が毎年、平均520万ヘクタールも失われ続けてきたのだとか。去年の夏は、アマゾンの大規模火災に衝撃を受けましたが、9月に始まったオーストラリア南東部の森林火災は、新しい年を迎えても鎮火できず、今年2月の30年ぶりの大雨によってやっと消えたと言います。それらのことと、近年、頻繁にクジラの死骸が各地に打ち上げられるのも、そして、今回の新型ウィルスのパンデミックもすべては繋がっていたのだということが、いよいよ現実味を帯びて迫ってきます。
「わが亡き後に洪水よ来たれ」という言葉の解釈は諸説あるものの、額面通りに受け取れば、子を持つ親もそうでない人も、少なくとも、そんな心境にはなれないと信じたい。だって、この国の「利権」の側は、「今だけ、金だけ、自分だけ」状態が、ずっとずっとこの期に及んでまだ続いていて、コロナのパンデミックすらお金に換えようとしているのですから。そんな中、我々にできることといえば、今夜のごはんと同じように、森林火災をとらえ、危機感を横に広げて投票行動に結びつけるしか、やっぱりないのだと思いますよ。