インド洋のモーリシャス沖合で 、日本の海運大手がチャーターした貨物船が座礁。重油が大量に流出した事故から一か月あまりが経ちました。最近になって、事故現場から遠くない海岸に17~18頭もの死んだイルカや、瀕死のイルカが打ち上げられ、地元の人たちが怒りを募らせているとか。コロナ以前は、こうしたニュースがわたしには、 正直言ってあまりピンとこなかったのです。でも、コロナを経験した今となっては、それが、自然界からの最後通牒に思えてなりません。
そうでなくても、放射能汚染水を薄めて海に流す案などを政府が検討している国ですから。国際社会から見れば、狂信的な独裁国家と映っても、さもありなんでしょう。 何か、とてつもなく大きな話をしているようですが、自分の子どもを、よかれと思って、そうとは知らずに虐待することも、海洋に誤って重油を流出させることや、やむを得ず希釈した放射能汚染水を放出するなどということは、元をただせば同じ因果による気がするのです。
子どもの虐待は、何も殴ったり蹴ったりだけではありません。こんな世の中にあって、愛するわが子の将来を案じるあまり、習い事や塾通いを強制して、本人が本当に望む子どもらしい体験をさせないことも既に立派な虐待です。自分の人生を親に横取りされた子どもたちが、社会に放り出された後、本当の自分に出会うということが極めて難しい時代ではないでしょうか。わたしには、そのこととイルカの死が無関係ではないと思えてならない。重油の流出をくい止めることはできなくても、せめて自分の生き方をみつめなおすことならできると思うのです。