車内に置き去りにされた幼い姉妹が、熱中症で亡くなったというのは、ねんきんカフェから遠くない場所らしいと知って驚いています。ニュースの記事を読んでいるうち、今年6月に3歳の娘を自宅マンションに放置して死なせてしまった母親同様、人々の怒りを煽るような、その書きっぷりに違和感を覚えました。ところが、まだ容疑もかたまらないうちから、既存のメディアばかりか、巷の私立探偵のような人たちが無責任な情報をまき散らし、真に受けたtweetが母親のプライバシーを暴こうとする様子は、さながら現代の魔女狩りのよう。
解剖学者の養老孟司さんは、 小島慶子さんとの対談でこんなことを言っています。「 昔、厚生省が夫婦の愛情について調査をしたら(略)、新婚当時から一五年間で、夫の妻に対する愛情はほとんど変化しない。ところが、妻の夫に対する愛情は右肩下がり」であると。その理由について、 妻が育児に振り回されて、もう子どもの顔なんか見たくないっていう状態になったとき、「じゃあオレがみているから」と子育てから解放してあげることをしないからだと。わたし自身、24歳ではじめて母親になったときには、わが子の小ささと責任の重大さに愕然とさせられた覚えがあります。
新聞が、人々の怒りを煽るような書きっぷりをするのは、そうでないと世間が納得しないからだとしたら。同様にバナー広告をチカチカさせながら、アフィリエイトで稼いでいるような人たちが、フェイクとおぼしきニュースを垂れ流すのも、裏を返せばそうしないとお金にならないからだとしたら?そうとも知らず、丸腰で、そんな時代を生きている若者が不憫でならない気がします。こんなことになるくらいなら、何とか都合をつけてでも、近くにいたわたしが子どもたちを預かってあげたかったくらいです。