かつて、夫と再婚した後も、娘たちが実の父親(わたしの元夫)と会っていると知って、夫の兄に「異常だ」と言われたことがあります。十年余り前のことだったでしょうか。世間の人はこんなふうに解釈するんだと思いました。わたしの両親も離婚していますが、出て行った母にわたしたちが会いに行こうが、父は一切自由にさせてくれたので夫の兄の反応は驚きでした。もっとも、夫は、元夫に対しておおむね好意的で兄とは考え方が真逆。
おかげで、その点、わたしも娘たちも伸び伸びとさせてもらっています。元夫とは別れて20年ほどですが、娘たちのことでは、その後も必要に応じて話し合ってきましたし、むしろ、今の夫は「彼に相談してみたら」といってくれるので、ときにわたしは、夫の目の前で元夫に電話することすらあります。そんな関係が続いてきた今となっては、元夫は過去の人というよりも、親戚のおじさんのような感じでゆうべもさらっと電話がありました。インターネットが苦手な彼は、海外にいる長女に電話をしてもうまくいかず、困っているというのです。
ついでに、話が二女に及び、パートナーとの暮らしをはじめた二女の家で、自分がどんなに活躍したかも、たっぷり聞かせてもらいました。というのも、元夫はこの道一筋半世紀の大工さんで、自慢の腕ととっておきの材料を駆使して、ウッドデッキを設えてきたとか。「(子どもたちを)何とかして応援したい」という彼の言葉が聞けてわたしは本当に幸せです。依存先を増やすのが本当の自立なら、娘たちにとって依存先が増えることは大歓迎。「異常」という言葉で、子どもたちを抑圧する大人の気が知れません。