歴史的な住民投票から二夜明けて、何か焼け野原に立ち尽くす思いです。この間、維新を選び続けた大阪の人たちが、土壇場で自治を守り、維新の暴走をくい止めた快挙には心から敬意を表したい。しかし、その一方でたったの17,167票差。山本太郎が連日の大阪入りをしていなかったら、いったいどうなっていたのだろうと思うと決して手放しでは喜べません。結局、人々の不満には蓋をしたままなのですから。
話は変わって、映画「スパイの妻」を観てきました。ストーリー自体はフィクションでも、そのモチーフは歴史の事実で、何気ない日常に軍靴の不穏が忍び寄る怖さを覚えます。まだほんの四半世紀前の映画の舞台は神戸。お隣の大阪市では、今回の住民投票でたまたまはね返せたからよかったようなものですが、ひょっとすると我々はファシズムと背中合わせの日常を送っているのかもしれません。ちょうど、病原体の侵入を見張る免疫システムのように。
今回大阪市の免疫システムは確かに作動し消滅の危機から大阪市を救いました。たかが 1万7千票 、されど 1万7千票 。平成の大合併で自治体数が大幅に減らされたものの、人口が 1万7千に満たない自治体はいまでも少なくないはず。 この成功体験は決して侮れないと思うのです。かつて焼けて野原に立ち尽くした先人たちは、絶望も味わったでしょうが、再生の希望の光を浴びていたに違いない。なんだかそんな気がしてきました。