「他力」とは、誤解の多い言葉ですが「本願他力」のことで、一般に言う「他力本願」とは全く違います。親鸞聖人が「他力というは如来の本願力なり」とおっしゃるとおり、他力は決して他人の力ではなく、仏さまの、生きとし生けるものを救わずにはいられないという願いの働きのこと。
人生はおおむね思うようにはならないけれど、ときに「何でこんなにうまくいったんだろう」と思うときがあります。そんなときはたいてい、内側からこみ上げる力にわたしが突き動かされているときで、それがそのまま仏さまの願いに重なるとき。そんな気がしてならないのです。
既に五十を過ぎていたわたしが、8~9カ月の勉強で社会保険労務士試験に受かったときもそうでした。チャンスは二度とは巡ってこない。そう思ってはいたものの、まさか本当に受かるとは思いもしませんでした。そしていま、お一人おひとりの奇跡のような出会いに本願他力を思わずにいられないのです。