街でみつけたおしゃれなチュニック。月に一度の持ち寄りバザーなのに、そのクオリティの高さは目を疑うほどでした。しかも、お値段は何とたったの200円。これからの季節にぴったりなのに何でこんなに安いんだろうと思ったら、サイズがタイトで着る人を選ぶんだそう。これは、もう迷う余地なしと思って試着もしないで買って帰ってきました。
ところが実際着てみると、167㎝、47㎏のわたしでさえ、腰回りがピチピチでがっかり。ある日「衣類のリフォーム」の看板が目に留まったのでマチを入れてもらおうとチュニックを持参したら、(マチを入れるだけで)裏地が付いているから「15,000円と消費税也」といわれてしまいました。そんなこんなで半ば諦めかかっていたころ、母の同級生、Kさんを思い出し、チュニックを見せると5,000円でやってくれるというではありませんか。
現在83歳のKさんは、洋裁一筋、この道60年以上のキャリアを誇る方。別に私が母の娘だからというわけではなく、料金表どおりの金額なのにこの差はいったい何なのでしょう。できあがってきたチュニックは、まるであつらえたようにぴったりで、どんなに幸せな気分になったことか。私の母は、若いころフランスで暮らしたことのある人で、いつか母に聞いた、これってパリジェンヌ流かも。いい物を世代を超えて受け継ぎ、長く愛用するパリジェンヌやKさんのような職人が見直される。そんな古くて新しい時代の予感がします。