たとえば「いついつ娘の受験だから、うまくいくよう祈っていてね」とわたしがいうと、即座に呼応して「よっしゃ、わかった!」と言ってくれる。わたしの母はそんな人でした。とはいえ、母娘の確執がなかったわけでは到底なく、父親に甘く母親に厳し過ぎた自分を、母亡きあとの今ごろになって悔やんでいるところでした。
しかも、この度わたし自身が初めておばあちゃんになったことで、赤ちゃんのママ、つまりわが娘との距離感をはかりかねていたのです。娘の妊娠発覚とほぼ時を同じくしてこの世を去ったわが母を、かつて、いま以上に必要としたことを、すぐには思い出せないくらいでした。
そんな中、4時間前に、もう一人の娘がわたしに宛てたメールのタイトルは「おばあちゃんからの手紙2通(永久保存版)」。断捨離でたまたま発見したという添付ファイルの手紙にわたしが号泣したのは言うまでもありません。「死」は別れではなく「出会いなおし」という母の言葉は嘘ではなかったのです。