毎週土曜日、朝の日課にしていた新鮮野菜の買い出し。郷里の高松市にUターンしてこの方、片原町商店街のけやき市場に産直市が立つのがどれほど暮らしの励みだったかわかりません。それなのに…廃業を知らせる貼り紙にはこのように書かれていました。
「2軒とも家人が病気になり続けることができなくなりました」。たった2軒で回していたとは思えないほどの豊富なバリエーションで、市に並んでいたのは野菜ばかりか煮豆に、お寿司に、炊き込みご飯、各種漬物や発酵食品にスィーツまで。しかも、2軒を代表するのは七十代半ばとおぼしき二人の女性です。
かつて、関西の自治体で農業委員会事務局を担当した経験から、わたしには、彼女らの八面六臂の奮闘ぶりが目に浮かぶよう。食料自給率の低さが危ぶまれて久しいこの国の片隅で、彼女らの挑戦の持続可能性が静かについえたことの持つ意味がわたしには不安に思えてならないのです。