これは、障害年金ができた当初から現在に至るまで、私たちの心の病気がどのように扱われてきたかという、少し切ない、しかし希望もある歴史のお話です。特に「神経症」と診断された方が、障害年金の申請を検討する際に知っておくべき現実と、その先の道筋を専門家の視点からお伝えします。
🧩 ステップ 1:昔(昭和のころ)は「心の病気」は対象外でした
障害年金制度が始まったとき、対象は**「身体の障害」**が中心でした。目が見えない、手が動かないなど、客観的に確認しやすい障害です。
当時は、心の病気は「性格の問題」や「一時的な気の持ちよう」と見られることが多く、国もその障害を長期的に評価する仕組みを持っていませんでした。
🧠 ステップ 2:平成のはじめごろ、状況は変わりました
医学が進み、「うつ病」や「統合失調症」などの重い精神疾患は、一時的なものではなく、脳の機能に影響を及ぼす病気だと広く理解されるようになりました。
これを受け、国は「心の病気も、生活に大きな支障があるほど重ければ、年金の対象にしよう」という大きな方針転換をしました。これは、私たち当事者にとって大きな一歩でした。
⚖️ ステップ 3:しかし、「神経症」は原則として対象外、という壁ができた
心の病気が対象になった後、行政は認定のルールを明確にしました。ここで「神経症」に分類される病気が、原則として対象外とされることになります。
知っておくべき行政上の「診断コードの壁」
私たちが日常で使う「神経症」という言葉は、障害年金の審査では、ICD-10(国際疾病分類)という国際的なコードで分類されます。
- F4(神経症性障害、ストレス関連障害、身体表現性障害)
- F6(人格および行動の障害/パーソナリティ障害)
あなたの診断書に、パニック障害、強迫性障害、PTSD、広場恐怖症、適応障害などが書かれていた場合、これらは多くがF4に分類され、「原則として対象外」という枠組みに入ってしまいます 。
このため、申請の窓口では、診断書にこれらのコード(F4/F6)しか書かれていないと、「このままでは認定されませんよ」と指摘を受けることがあるのです 。これは、あなたの病気の重さを否定しているわけではなく、行政の仕組み上、まずコードでふるいにかけられてしまうためです。
🧾 ステップ 4:ただし、「例外」の扉は開いている
この原則除外のルールにも、国は「ただし書き」を設けています。これが、私たちにとっての希望の扉です。
「神経症であっても、その症状が長期間持続し、精神病の病態(状態)を示している場合は、統合失調症やうつ病と同じように扱うことがある。」
「精神病の病態」とは、何を意味するのか?
これは、**「幻覚や妄想があるかどうか」**を意味しているのではありません。
ここで行政が求めているのは、あなたの神経症の症状(強烈な不安や回避行動、強迫行為など)の結果として、日常生活が破綻している程度が、重度の精神病患者の方と同等であること、つまり**「機能的な重さ」が同じである**という証明です。
たとえば、「パニック障害で自宅から一歩も出られず、食事や入浴もままならない」「強迫行為のために一日中他のことが一切できない」といった状態は、この**「精神病の病態」**に近いと判断される可能性があります。
📋 ステップ 5:今の審査(令和のころ)は「病名」よりも「生活の支障」がすべて
結局のところ、現代の審査で最も重要視されるのは、あなたの「病名」ではなく、**「日常生活能力の程度」**です。
- ご飯を食べられるか、お風呂に入れるか
- お金の管理ができるか、危険を回避できるか
- 人とのコミュニケーションや集団行動ができるか
同じ「不安障害」であっても、仕事や社会生活がある程度できる人は対象外ですが、家から出られず、生活のすべてに介助や援助が必要なほど重い人は、例外規定によって認められる可能性があるのです。
あなたの苦しみが、客観的に見て、他の重い精神疾患と同じくらい生活機能を奪っているという事実を、医師の診断書でいかに具体的に立証できるか。これこそが、F4/F6の壁を越えるための唯一の鍵となります。
🌈 まとめ:診断書に「あなたの現実」を書いてもらうことが大切
もしあなたが神経症と診断され、障害年金の申請を考えているなら、知っておくべきことはシンプルです。
- 原則は厳しい: F4(パニック障害、PTSDなど)は原則除外という行政の仕組みがあることを理解する 。
- 医師との連携が命: 診断書で**「精神病の病態」に匹敵するほどの機能的な重さ**(日常生活能力の著しい制限)を具体的に書いてもらうことが必須です。単に「症状が重い」ではなく、あなたの生活のすべてがどのように制限されているかを詳細に記述してもらうよう依頼しましょう。
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