~制度の歴史と、今だからこそ伝えたい課題~
はじめに:障害年金って、どんな制度?
障害年金は、病気やけが、生まれつきの障害などによって生活や仕事がむずかしくなった人を、**国が支えるためのお金(年金)**です。
日本では今、たくさんの人がこの制度を使えるようになっていますが、昔は使える人が限られていました。そして、今でも**「本当に必要な人が受けられていない」**という声がたくさんあります。
このブログでは、障害年金がどのように変わってきたのか、そして今も残る課題について、できるだけわかりやすくお伝えします。
昔の制度はどうなっていたの?
1986年(昭和61年)より前、日本の年金制度はこうでした:
| 年金の種類 | 入っていた人 |
|---|---|
| 厚生年金 | 会社で働く人 |
| 共済年金 | 公務員や先生 |
| 国民年金 | 自営業や農家の人 |
当時は、主婦や学生、無職の人は年金に入っていないことが多く、そういった人が障害を負っても、障害年金を受け取れないケースがたくさんありました。
例:農家の青年の場合
交通事故で障害が残ったのに、年金に入っていなかったため、年金を受けられませんでした。
1986年の改革:すべての人を支える制度へ
1986年、年金制度は大きく変わりました。
- すべての国民が「基礎年金」に加入することに
- 障害年金も、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」に分けて整理されました
- これにより、主婦や学生でも、障害年金の対象になれる土台ができたのです
その後の主な変化と改善
✅ 1990年代:審査基準の明確化
どれくらいの障害で、どの等級になるのかが診断書とガイドラインで整備されはじめました。
✅ 1999年:うつ病や統合失調症も対象に
精神障害(気分障害、統合失調症など)が、実務的にも障害年金の対象として認められるようになりました。
発達障害と障害年金:本格的に認められたのは2011年
ここは非常に大切なポイントです。
- 発達障害(ASD・ADHDなど)は、法律上は以前から「障害」のひとつとされていました
- しかし、障害年金の実務では長い間ほとんど認定されていませんでした
そこで、2011年に厚生労働省年金局から全国に通知が出され、
「発達障害も精神の障害として、障害年金の対象となる」
と明確に示されたことで、ようやく本格的に認定されるようになりました。
つまり、制度上は昔から対象ではあったけれど、実際に使えるようになったのは2011年からだということです。
今の課題:「働いていると困っていないと思われてしまう」
障害年金の審査では、いまだにこんな誤解が多くあります:
「働いているのだから、生活に困っていないのでは?」
しかし、実際にはこういう人がたくさんいます。
🌪 働いているけど、しんどい人たちの実情
- 就労しているが、週に数日だけ、短時間だけ
- 無理して働いたあと、家では何もできない
- 職場ではがんばって明るくふるまっていても、精神的につらくて涙が出る
- 「働ける=障害が軽い」と判断されてしまい、支援が受けられなくなることへの不安
💬 実際の声:
「生活費のために必死で働いてる。でも本当は、毎日つらくて限界です」
「家族が支えてくれているだけ。一人だったら働けていないと思う」
世界と比べて、日本の障害年金制度はどう?
日本の障害年金制度は、世界でもかなり整っている方です。
- 全国民が年金制度に加入しており、障害年金も基本的にすべての人が対象
- 現金給付が継続的に支給される国は、世界でも少数
| 国 | 制度の有無 | 備考 |
|---|---|---|
| 🇯🇵 日本 | ◎ | 基礎+厚生、全国民対象 |
| 🇸🇪 スウェーデン | ◎ | 高福祉だが審査は厳しい |
| 🇺🇸 アメリカ | ○ | SSDIやSSIがあるが、対象が限られる |
| 🇮🇳 インド | △ | 一部の現金給付制度のみ |
| アフリカ諸国 | × | 制度がほぼ存在しない |
ただし、制度があるからといって「誰もが助けられている」とは限りません。
制度の運用や認定のあり方に、まだまだ改善の余地があるのです。
おわりに:制度を知ることが、未来を変える一歩に
日本の障害年金制度は、過去40年で大きく変わり、多くの人が助けられる制度になってきました。
でも今も、「見えない障害」や「働いている人」への理解が足りず、支援が届いていない人がいます。
だからこそ、制度を正しく知り、必要な人がきちんと受けられるように、社会全体で見直していくことが大切です。
制度を知ることが、自分や誰かを守る力になります。
そして、「困っている人が困ったままにされない社会」を、みんなでつくっていきましょう。
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