障害年金の制度において、ときどき耳にする「社会的治癒(しゃかいてきちゆ)」という言葉。
これは、「病気やけがが完全に治っていなくても、社会の中で普通の生活ができていれば、それを“治癒”とみなす」という考え方です。
今回は、医学的な回復とは異なる「社会的治癒」と、それが障害年金の受給にどう関係するのかを、できるだけやさしく解説します。
社会的治癒とは?──病気が治っていなくても「治った」と見なす考え方
たとえば、うつ病になり通院していた人が、ある時期から医療を受けずに仕事や家庭生活を普通に送れるようになったとします。
この場合、医学的には完治していなくても、「社会的には治った」と見なされることがあります。
これが「社会的治癒」という考え方です。
なぜ社会的治癒が重要なの?──障害年金で有利になることがあるから
障害年金では、「初診日」がとても重要です。
なぜなら、
- その日に保険に入っていたかどうか(被保険者要件)
- 保険料を納めていたかどうか(納付要件)
が、支給の可否に関わってくるからです。
ところが、昔に治療していた病気が、長い期間よくなっていて、その後にまた再発した場合──
**「再発時を新たな初診日とできるか?」**が大きなポイントになります。
このとき、社会的治癒が認められると、「再発時=新たな初診日」として取り扱ってもらえる可能性が出てきます。
すると、
- 新しい初診日が厚生年金の加入中なら「障害厚生年金」として申請できる
- 直近の保険料納付状況で要件をクリアできる
など、より有利な条件で障害年金の請求ができるのです。
「医学的な完治」ではなく、「社会の中で生活できるか」が大事
人間の体や心は、完全に元どおりになるとは限りません。
とくに精神障害や慢性の身体疾患などでは、「医学的に治った」とは言えなくても、普通に働いたり、家事をしたりして生活していることがあります。
そうした現実をふまえ、障害年金の制度では、「社会の中で生活ができていたかどうか(=社会的治癒)」に目を向けて、
制度本来の目的である**“生活の安定”と“自立支援”**を大切にしています。
裁判で争われることもあるが、実務上は“常識的な判断”がされるケースも
社会的治癒は、しばしば裁判でも争われます。
しかし、そこまでいかなくても、「どう見ても長期間安定していた」と認められる場合は、実務の中で比較的スムーズに社会的治癒と判断されるケースもあります。
その結果、より有利な初診日が認められ、障害年金が支給されるという事例も少なくありません。
まとめ──社会的治癒は「人らしい生活」を支える制度の知恵
社会的治癒という考え方は、単なる制度の抜け道ではなく、
「人が自分らしく生きる」「治ったとは何か」という深い問いに向き合った制度上の知恵でもあります。
完全な治癒にこだわると、救われるべき人が救われない。
だからこそ、現実の社会生活を重視するこの考え方は、多くの人の生活を守る大切な仕組みなのです。
おわりに
障害年金の制度はとても奥が深く、一見すると難解です。
けれど、その根底には「人としての生活を守る」という温かい理念があります。
もし、ご自身やご家族の中に「昔の病気がまた悪くなった」という方がいれば、
「社会的治癒」という視点からもう一度、障害年金の可能性を検討してみてはいかがでしょうか?
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