~ユニバーサルで公平な仕組みができた理由~
はじめに
障害年金って、実は世界でも珍しい制度なんです。
日本の障害年金制度は、全国民を対象とした手厚い所得保障という意味で、世界的にもかなりユニークです。
この記事では、日本でこのような制度が生まれた理由、そしてその背景にある社会の流れや考え方について、わかりやすくご紹介します。
1. 世界でも珍しい「全国民が対象」の制度
日本の障害年金制度は、すべての国民が一定の条件を満たせば利用できる制度です。しかも、20歳前に障害を負った方でも、保険料を払っていなくても受け取れるケースがあります。
たとえば、うつ病や発達障害など、目に見えにくい障害も対象になる点も、世界的に見るととても進んだ制度です。
2. なぜ日本にそんな制度があるの?
では、なぜ日本ではこのような公平な制度が実現したのでしょうか?
主な理由は以下の5つです。
① 戦後の復興と生活保障の必要性
第二次世界大戦後、日本は焼け野原の状態からのスタートでした。
戦争で傷ついた人たち、家族を失った人たちを支えるために、「最低限の生活を守る」ための制度が急がれました。
この流れの中で、障害を負った人たちへの保障の仕組みも生まれ始めました。
② 「みんなで支え合う」国民皆年金の導入とその実態
1961年、日本は「国民皆保険・皆年金」をスタートさせました。
これにより、すべての国民に医療と年金の制度が行き渡ることになった――とされています。
ただし、ここに重要なポイントがあります。
👉 実は「任意加入」の人も多かった
1961年の制度スタート当初、農業者・自営業者・無職の人など(のちの第1号被保険者)は、強制加入ではなく任意加入だったのです。
このため、多くの人が年金に未加入のまま過ごし、
「年をとっても障害を負っても年金がもらえない」という事態が各地で起きました。
✅ 強制加入となったのは1986年
1986年の法改正で、ようやく「20歳以上60歳未満のすべての国民」に年金への強制加入義務が課されるようになります。
つまり、「国民皆年金」という理想が本当に形になったのは、この時期だったとも言えます。
③ 経済成長とともに福祉も拡大
1960〜70年代、日本は高度経済成長を迎えます。
国が豊かになる中で、「経済的に弱い人たちも支えよう」という考え方が強まりました。
障害年金は、病気やケガ等のために生活や就労に支障をきたした人の生活を支える大切な制度として、国の福祉政策の柱のひとつとなっていきました。
④ 憲法25条の「生きる権利」が根底に
日本国憲法 第25条には、こんな言葉があります。
「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」
この「生きる権利」が、当然に、障害のある人たちにも保障されるべきという理念につながっています。
障害年金は、この憲法の精神を具体化した制度でもあるのです。
⑤ 市民の声と当事者の運動
実は、こうした制度の多くは、障害当事者やその家族の声によって生まれ、改善されてきました。
1970年代以降、障害者による自立運動や、親の会の働きかけなどが、制度の拡充を後押ししてきたのです。
3. 任意加入の時代が残した影響
1961年から1986年までの「任意加入の時代」は、
結果的に無年金・低年金の高齢障害者を生む一因となりました。
- 加入は任意だからと未加入のまま過ごしてしまった人
- 若いときに障害を負い、年金の納付歴がないまま大人になった人
こうした人々は、今なお制度のはざまで困難を抱えているケースがあります。
4. おわりに 〜この制度を未来につなぐために〜
障害年金は、日本社会が「どんな状況にある人でも、生きていける社会をつくろう」と努力してきた結果、生まれた制度です。
けれど、そこには「完全ではなかった時代」もありました。
だからこそ今、私たちはこの制度の価値を見つめ直し、必要な人にしっかりと届ける責任があります。
🍀 補足:他国との比較(簡易表)
| 国名 | 障害年金制度の特徴 |
|---|---|
| 🇯🇵 日本 | すべての国民が対象。精神障害や若年発症も保障あり。 |
| 🇩🇪 ドイツ | 労働能力の低下が条件。自営業者や若年層への保障は薄い。 |
| 🇬🇧 イギリス | 給付はあるが審査が非常に厳しい。 |
| 🇺🇸 アメリカ | 働けないことの証明が難しく、対象が限られがち。 |
💬 最後に
障害年金は、ただの現金給付ではなく、
「その人らしく生きることを支える制度」です。
今の制度があるのは、歴史の中での努力と反省、そして市民の声の積み重ねによるもの。
これからも制度の理念を守りながら、必要な人に届けるための知識と支援の輪を広げていきましょう。
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