ねんきんカフェから歩いて8分のところに、特別名勝 栗林公園があります。写真は今朝の栗林公園、北梅林。梅の花が、ちょうど盛りを過ぎたところを雨に打たれてご覧のとおりの様子です。
それでもここは、街中にありながら、旺盛な自然の息吹を肌に感じる場所で、巷とは時間の流れ方が違う場所。
1945年7月4日未明の高松空襲で市内中心部は絨毯爆撃に遭い、一面の焼け野原になった高松では、栗林公園から高松築港まで視界を遮るものがなくなったといいます。
栗林公園は当時の市内中心部南端に位置しますが、ここに向かって逃げた人はその多くが犠牲になったのだとか。後に私が生まれるお寺は、そのころ高松のど真ん中にあって、15歳になったばかりの私の父は、私の曾祖母を乳母車に乗せて、祖父と共に西へ西へと必死に走ったのだそう。あのとき父が南へ走っていたら私はこの世に存在しなかったかもしれません。
ちっぽけな自分にコントロールできる物事などほとんどありはしません。しかし、コントロールできない世界を嘆くより、コントロールできる世界に意識を集中させて自分の生き方を選ぶことならできるはず。将来が全く見通せない不安な時だからこそ、そうやって生きる営みを続けていくのだよ。栗林公園の梅の声が聞こえた気がしました。