「緊急事態宣言、可能にする法案 来週成立の見通し」とNHKが報道する中、「星に語りて (2011年3月11日 東日本大震災、障害のある人と支援者の物語) 」の試写会で私ははじめて知りました。 東日本大震災では死者、行方不明者合わせて1万8千人を超える中、障害のある人の死亡率が全住民の2倍にのぼったということを。 https://www.kyosaren.or.jp/starrysky/
東日本大震災に限らず、大災害の被災地では「障害者が消えた」という現象が共通して起きてきたのかもしれません。つまり、安否確認できるのは避難所に集まった人たちだけで、そこで過ごすことが困難な人たちのことはわからないからです。
死亡率が2倍にのぼるという事実から、避難所に避難できない人(障害者や高齢者などの社会的弱者といわれる人)たちから順番に犠牲になっていったことがうかがわれます。そして、このことは、長期的にみて社会的弱者から順番に国家によって切り捨てられていったことを物語っているのではないでしょうか。
この映画は実在する人物がモデルで、当時の記録に一部アレンジを加えたものだとか。支援者たちは「障害者の生命、身体及び財産」を守るため、個人情報保護条例の特例的運用を自治体に働きかけ、公開された情報をもとに支援を続ける中で、障害者自らが生きる力を回復する過程を描いています。
あれから丸9年。今、新たな危機に直面する中、過去の教訓をいかせば「緊急事態宣言」の前にやるべきことはあるはずです。まもなく3月11日を迎えますが、亡くなった方たちの死を無駄にしないためにも、断じて「緊急事態宣言」の前例を作ってはなりません。何しろ国家が発動する緊急事態宣言は、北海道など自治体が発動するそれとはわけが違うのですから。