「コロナうつしてやるおじさん」のような人が出てくるから、緊急事態宣言を盛り込んだ特措法はぜひとも必要なんだ。そういって、あさっり国民が納得してしまう。あるいは、打倒安倍政権を掲げて野党共闘を続けてきたはずの立憲、国民民主が本末転倒する。こうした展開にこそ危うさを覚えずにはいられません。
元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平という方が仰っています。(コロナうつしてやるおじさんの行為について)「本人が新型コロナウイルスの陽性と認識していることから傷害罪になります」。さらに、店舗への威力業務妨害に加えて、店や他の来店客に対する損害賠償が発生すると。だとすれば、緊急事態宣言などなくても刑法や民法で対応できるわけで、抑止効果を狙うなら予め広報活動に力を入れればいいだけのことではないでしょうか。
私の父は、昭和一桁生まれです。父が十五の年に日本は敗戦を迎えました。そのことの意味を想像していただきたいのです。つまり、十五歳という感じやすい時代に、一夜にしてそれまでの世界観が転覆したということ。それは「天皇陛下万歳」で思考停止することが許されなくなったということです。
だから我々は自分の頭で考えなければなりません。権力というものは、いつの時代も人権を抑圧しますから、ぜひとも必要なのは権力に対する歯止めです。権力に対する歯止めとは現憲法のことで、いずれその現憲法を殺す可能性のある緊急事態宣言が発動可能になるのなら、我々は、よほど周到に権力を監視し続けなければならないことになります。