現代人は「死」というものを遠ざけすぎていると、東大名誉教授で解剖学者の養老孟司さんは、もうずいぶん以前からこう指摘していました。「本日の交通事故死者数何名」という派出所の掲示板を見ても、今日は多いとか少ないとか実感がなくなっているのではないかというのです。
それと同じことが今回「コロナ」でも、より顕著に表れている気がしてなりません。連日発表される数字は、実は意味がないにもかかわらず、我々は数字に踊らされています。「(コロナで)人の亡くなる話が、ほとんどマスコミに出てこない」と主張するのは、東大先端研の児玉龍彦さんです。世界では、日刊紙に10頁以上の訃報が掲載される国も複数あるというのに。
「死」にまつわることを忌み嫌い、目をそむける傾向に拍車がかかっているのではないでしょうか。大型連休最終日の昨日は自粛のタガが外れた印象でした。そんな中、児玉龍彦さんは、今では新型コロナウイルスのことを「致死ウィルス、SARS-CoV2」と呼んでいます。政権ばかりか我々までもが事実を直視しない間に致死ウィルスが忍び寄っているとしたら?何だか背筋が寒くなってきました。