元最高検検事の記者会見をみて不思議に思いました。発言の内容以前に冒頭「わたしごときが」とか「老齢で力もない」などの言葉を連発されることに対してです。かのロッキード事件を担当した最高検察庁の元検事といえば、わたしなどは殿上人のように感じてしまうというのに。
それで思い出したのは、上野千鶴子さんの言葉です。正確ではありませんが、次のような内容だったと思います。「年寄りは黙っていろが当たり前のこの国では、老いさらばえる者は黙して語らなかった。障害を持つ人たちがそれなりに声をあげてきたのに対して、高齢者自身が表現したものは驚くほど少ない。自分はしぶとく生きて声をあげ続けてやる」と。
ときの政治権力の独断によって、しかも、コロナという危機に便乗する形でここまで国が壊されようとしています。それぞれの専門分野のOB、OGのみなさんをはじめ、この国の戦後を生き抜いたシニアの方々には、今こそ声をあげていただきたいもの。誰も経験したことのないこれからの時代を生きる若者には、そうした知恵と態度がぜひとも必要だと思います。