商店街の産直市に淡竹(ハチク)が並んでいました。皮付きのものから下ごしらえ済みまで並んでいたうちの、一番手のかからなさそうなものを買い求めて歩いていると、うしろから来た自転車のおじさんが、すれ違い際に讃岐弁で声をかけてきました。
「ハチク好きなん?」。聞けば、おじさんもハチクが大好き。本当は食べたいのだけれど、処理が面倒なのと、胃が悪いのとで食べられないのだとか。思えば、見知らぬ同士がこんな風に声を掛け合う姿もコロナを経てますます減ったもの。おじさんの讃岐弁に懐かしさがこみ上げてきました。
感染症の第2波や、コロナ大恐慌が懸念される中、こんなのどかな日常を守るために何ができるでしょうか。「とと姉ちゃん(NHK)」のモチーフとなった花山伊佐次は、2度と戦争を起こさないために、「暮らし」を大切にする世の中にしたいという思いで「暮らしの手帖」を創刊しました。戦後まもなくのはなしです。
そしていま、わたしたちは「コロナ」の戦後を見据え、今度こそ「暮らし」を大切にする世の中を勝ち取るために、人任せではいられなくなりました。必要なのは強いリーダーではあり得ない。本当に必要なのは、既に「正解」を持っているリーダーではなく、庶民との、粘り強い対話によって「正解」を導き出し、たえずその「正解」を改善できるリーダーではないかと思っています。