「自分たちが声をあげても無意味だなんて考えるのはやめて、投票するんだ。選挙について学んで誰に投票すべきか考えろ。そうやって敵を倒すんだ」 。これは、米中西部ミネアポリスで先月、警察官に殺害された黒人男性の弟、 テレンス・フロイドさんの言葉です。
全米140の都市を経て欧州やニュージーランドにまで、人種差別に抗議する声が一気にひろがっているのは、コロナによる感染、死亡も、警察官による暴力の犠牲になるのも、いつもアフリカ系等の住民がほとんどという不条理が、がまんの限界にきたのではないでしょうか。
日本では、警察官が公共の面前で殺人を犯すという事態を少なくともわたしは知りませんが、それでも、あの関東大震災においては、朝鮮人や朝鮮系日本人、無政府主義者が虐殺されたのと同様に、わが香川県出身の行商団が、官憲や自警団の犠牲になったとか。
当時、興奮状態の自警団は「言葉がおかしい」「朝鮮人ではないか」などといって妊婦や幼児を含む9名を惨殺したと言いますから、今、アメリカで起きていることは断じて他人事ではあり得ないのです。このような過ちを二度と繰り返さない「新しい社会」をつくるには、テレンスさんのいうとおり、わたしたち自身が学んで、本当の敵を倒すしかないと思っています。