デモ隊を前にひざまづく警察官の映像をみて思わず涙が出ました。アメリカの人種差別に対する抗議デモ。一部で暴力や略奪行為が繰り返される中、ニューヨーク市警の最前線の警察官が、ひざをつき大きく握りこぶしを掲げました。これは、デモ隊に対する賛同で人種差別への抗議の意思を表すゼスチャーだとか。
ひざまづいた警察官はいいます。「気持ちはみんなと一緒だ。平和的にやってくれれば協力する」と。これをみて象徴的だと思いました。「有色人種」と「白人」、「金持ち」と「貧乏人」、「官」と「民」など、もし、世の中を二項対立で説明できると思っている人がいたとしたら、ひざまづいたのは黒人警察官だからだというかもしれません。
でも、率先してひざをついた警察官の傍らに、一緒になってひざまづく白人警察官の姿を見逃さなかった人も多いと思います。人類の祖先はアフリカで誕生したというのですから、もともとひとつだったものを分断し、矛盾や対立を煽ってきたのは、その時々の政治・権力ではないでしょうか。世界はあたかも、大陸のプレートが軋みあう地震活動のように動的で「新しい社会」の胎動をみる思いです。