長かった四国地方の梅雨もようやく明け、今日から気持ちも新たに8月。とはいえ、新型コロナの感染者数は、3日連続で過去最多を記録の厳しさです。わが人生を振り返るとき、最も辛く苦しかった三十代の一時期、わたしにとっては、朝の目覚めの時間が中でも一番きつかった、そんな気がします。自死によって最愛の夫を失った赤木雅子さん(森友事件で公文書改ざんに追い込まれた近畿財務局元職員、赤木俊夫さんの妻)も、当時はどんな思いで毎日、朝を迎えたのだろうと思うと、よくぞ乗り越えてくださいましたと拍手を送りたい気持ちです。
ジャーナリストの相澤冬樹さんとの共著であるご著書「私は真実が知りたい」の中にこんなことが書かれています。森友事件の土地取引の責任者だった池田という人が去年の11月に赤木さんの自宅を訪問した際の様子について。「池田さん会話もおかしくて仕事なんてできてないと思う。子供達も先月から家から出られないそうです。」と、これは、雅子さんから相澤さんに宛てたメールの一部です。また、二人が提訴の前に佐川元理財局長の自宅を訪れた際、雅子さんはこうつぶやいています。「佐川さんもこの家に住むご家族も、もう幸せではないんでしょうね。何だか佐川さんもかわいそう・・・・・」「森友(事件)に巻き込まれた人はみんな不幸になっていますよね」。
財務省も、近畿財務局も、そこに働く職員も、みんな様々な関係性の中に存在します。組織の論理に埋没する人は、自分が組織の一員である以前に、地域社会という共同体の一員であることを忘れている気がします。わたし自身、それがいえるのは、退職した今だからこそかもしれませんが。父の代から近畿財務局はお得意様という大阪の小さな書店では、今日、相澤さんによるトークイベントが開催されるとか。「私は真実が知りたい」という雅子さんを前に、一斉に口をつぐむ関係者は、いったい何を守ろうとしているのかと、ふと思索にふける8月の朝です。