ゆうべ走っている夢をみました。誰よりも早く駆け出して、余裕で一等賞になるはずが、気が付いたらゴールを見失っていて、周りに誰もいないという。わたしは、もっと走りたかったのに途中で目が覚めて、それでもまだ未練があって、もう一度眠って夢の続きがみたいようなそんな夢でした。もしかしたら、このことは昨日、みつけた 一枚の衝撃的な写真と無関係ではないかもしれません。
長い間、捨てられずにとってある写真の整理を、一日に15分でいいからやらないとと思い、やり始めた矢先のことで、そこには、赤ん坊を背負った一人の女性と3人の少女が写っていました。女性が佇んでいるのは、舗装されていない白い道の上。周囲には背の低い木がまばらに生えています。少女たちは道路わきの草の上にかたまって、それぞれに何かを探しているようです。このうち、一番背の高い少女がわたしなら、女性はわたしの母で背中にいるのは弟。重そうな手提げ袋をさげた母はやつれていて、当時まだ二十代のはずが、とてもそうは見えません。
なぜ、この写真が衝撃だったかというと、一目見て、母に聞かされ続けた苦労話を証明するような画像だったから。母に言わせれば、一人息子でぼんぼんの父には、泣かされどおしだったそう。子どもたちの年恰好から、きっとこの写真は二人が離婚する直前のもので、今から半世紀も前の一瞬をとらえたものです。わたしが9歳のときに、わたしの両親は離婚しましたが、幸運だったのは、その両親が世間的な慣習に縛られるタイプではなかったことで、実母とは今に至るまで交流が途絶えたことはありません。ところが、何でこんなことになってしまったのか、ここ数年のうちに妹弟とは疎遠になってしまったのです。ゆうべみた夢は、そんな満たされなさの裏返しかもしれません。