何日か前のブログで、新潟空港で飛行機を降ろされた、マスク着用拒否の男性のことを書きました。同機が新潟空港へ着陸すると、まもなく警察官を含む何人かが乗り込んできて、男性と話したあと、一緒に降りて行ったといいます。そして、その際、機内からは拍手が起こったとか。もし、わたしがその場に乗り合わせていたとしたら、ひょっとするとつられて拍手したかもしれないし、男性の気持ちを思えば、個人に向けられた集団の「正義」の危うさを覚えずにはいられません。
男性は、機内で、「大声を出した」とか「乗務員を威嚇した」といわれていますが、ご本人は「一切ない」とインタビューにこたえています。それは、彼が嘘をついているというよりは、同じ機内にいながらも、それぞれが全く違った現実を見ていることの現れではないかと思うのです。これが、コロナ以前なら、どうだったでしょう。たとえ咳や発熱があり、もしかしたらインフルエンザかもしれない乗客が、マスクをせずに搭乗してきたとしても、問題視されることはなかったのではないでしょうか。
たとえ、言いたくなかったとしても、男性には「マスクを着けられない理由」を、乗務員の耳元で小声で囁いて、理解を得る必要があったとは思います。しかし、それとは別に、マスクの着用が義務化されていないにもかかわらず、マスクの着用がもとで、集団が個人を排斥するのが当たり前の社会なら、やがて、その矛先は自分に向かってくると思った方がいいかもしれません。そのときは、理由がマスクとは限らず、それまで普通にできたことを制限されて、自分が仲間外れにされる日がぜったいこないとはいえなくなりそうです。