かつて私は「平成の大合併」を市町村職員として経験しています。私がいた自治体は、小規模ながら先見性があって住民投票と選挙の二度にわたり民意を表明。あらゆる合併圧力を跳ね返して今も独立の道を歩んでいます。ところが、一昨年Uターンした私の郷里(高松市)は様子が違っていました。高松市は、周辺の小規模自治体を吸収して膨張しましたが、当時、吸収された側の町が、自治権を手放す代わりに提示した約束、地域の人たちにとっては、このことだけはという当時の約束を今頃になって反故にするのだといいます。
高松市民病院塩江分院は、内科や外科など7つの診療科を持ち、ベッド数は87床。市町村合併の後も塩江分院は新築移転をして60床の規模を維持するはずでした。それが、このほど、道の駅などの観光施設と一体化した無床の診療所に生まれ変わるそうで「おっと、市長さん、それじゃ、話が違いやしませんか⁉」と住民が憤っても無理からぬことではないでしょうか。このことは、単なる一例にすぎません。市町村合併とはそういうものなのです。それと同じことが「大阪都構想」の名のもとに 今まさに 大阪市で進んいるのを、わたしは看過ごすことができません。
帝塚山大学の薬師院先生はいいます。「大阪都構想住民投票なんかありません。正しくいおうじゃありませんか。大阪市を廃止し、4つの特別区を設置することについての住民投票です」と。維新のいう特別区には、もちろん税金を取る権限なんてありやしません。何で、政令指定都市である大阪市が、税金も取れない弱小自治体に格下げされなければならないのか。それじゃ、市町村合併と同じじゃないですか。2重行政の無駄を省くといいつつ、大阪市を4分割して5重行政をしようというのですから、維新の気が知れません。私の娘も含め、大阪の人たちには、この間の選挙でがっかりさせられどおしでしたが、今度こそは、5年前同様、やっぱり「大阪人は偉いわ」といわせてください。お願いします。