「自助、共助、公助、そして絆」。 性懲りもなく、新しい首相がこんなスローガンを掲げる中、三十歳以下の女性の自殺が、去年に比べ74%も増加していると聞いて打ちのめされる思いです。 自助、共助、公助 …と、「自助」を真っ先に押しつけているということは、子育てとて例外であろうはずもなく、「自己責任」の子育てが若い母親たちを追い詰めている現実が容易に想像できるからです。それでも、女性たちは必死に持ちこたえてきたんです。しかし、コロナ禍ともなれば、もうこれ以上頑張れない。それが、理由なんじゃないのでしょうか。
昔むかしの子育ては、親や地域が見守って、若い母親を孤立させることはなかったかもしれません。でも、今じゃ、親だって、高齢になっても働かざるを得なくなってきています。 コロナ禍でなくても、産後の女性は不安定になりがちで、二十四ではじめて母親になったとき、小さな赤ちゃんを前に、責任の重さにわたしも押しつぶされそうでした。姑がいて「おびや(産屋明け)七十五日」と十分休ませてもらえてさえそうだったのです。夫やパートナーの積極的な育児参加や経済的な安定があれば、まだしも、そうしたケースは稀でしょう。
「強い孤独感」「死がよぎる」などの悲鳴にも似た声をよそに、産後ケア事業の進捗は、自治体ごとにばらつきがあって、今さらながら国のやる気のなさには呆れます。とはいえ、事態は深刻で、こんなときこそ子育て経験のある、たとえば、わたしのような者にもできることがあるかもしれません。まずは、黙って話を聞くことだと思うのです。解決策を提示しなければと構えたりしないで。彼女たちの中で渦巻いている不安や恐れや自己嫌悪、自責の念など、決してジャッジしないで吐き出させてあげなければならない気がします。