たとえば、あなたが突然、身体の機能の一部を著しく損なってしまったとしたら何が起きるでしょう。それが、傍目にもわかりにくいとなると事態は厄介です。子どもの頃からそうした障害を前提として生きてきた人なら、不自由は不自由なりに生きていく技を身に着けているものですが、中途障害、それも中年期以降の場合、ご本人も周囲もそれを理解し、受け入れ、適応するにはかなりの時間がかかる気がします。
いま、お預かりしている事例がまさにそれで、時間がかかるというその時間を待てずに重大事故が起きやしないかと気が気じゃないのです。たとえ、家族や友人がいたとしても、個人レベルの支援には限界があります。というのも個人が疲弊して共倒れになることがあるからですが、そういうときにこそ最も頼りになるのが身近な行政で、大阪の人なら大阪市です。
大阪市を廃止する住民投票まで、今日を入れてもあと5日。大阪市とは規模が違うとはいえ、前述の事例では、福祉の担当者が市役所内各部局での情報共有を約束してくれました。しかし、大阪市を廃止してしまったら、はたしてそうした対応ができるでしょうか。一度手放してしまったら二度と後戻りできないことは、「村・町」から「市」へなる憧れで安易に市町村合併に踏み切った数々の失敗事例が物語っています。