いつか聞いた、うえの世代の言葉が身に染みています。「孫は来てよし、帰ってよし」。わたしにはまだ孫はいないものの、娘がパートナーを連れて帰ってくるとなると、つい張り切りすぎて無理をしてしまいがち。身に覚えのある方も少なくないと思います。このうえ孫がいたら、はたして対応できるかどうか。誠に心もとない気がします。
ふだんは多忙すぎて、ほとんど話すこともできない二人と、久しぶりに食卓を囲んだ昨夜、予想したとおり話は尽きず6時間。気が付けば彼が台所の流し台に立っていました。若いころ、当時の婚家では、冠婚葬祭に限らず人が集まる日には、女性はほとんど座っていられませんでした。あの頃は、台所の流しに男性が立つ姿など見たことがなく、大人数の集まりならたいてい、3人の女性が、洗剤で食器を洗う人、すすぐ人、布巾で拭いて片付ける人と、役割分担していたものです。
そんな役割分担を、昨夜は彼と娘が仲良く並んでやってくれました。そのことがなぜか、わたしには新鮮だったのです。既に65歳を過ぎたわたしの夫も機嫌さえよければ家事をいといはしないものの、それとは違った新しいカップルの姿を見た気がしたからです。「AかBを選べ」といわれれば、敢えて「C」を選ぶという二人が、1年先の読めない時代を未来に向けて漕ぎ出しました。母親としてできることは自分の価値観を彼らに押し付けないこと。そんな気がしています。